リゾートホテルでは、多彩な付帯施設や顧客層に合わせてシームレスなサービスを提供するために、高度な宿泊管理システム(以降、PMS)が欠かせません。
ここでは、実際にPMSを導入したリゾートホテルの事例と、導入を検討するときに知っておきたいポイントを紹介します。
長野県の山岳リゾートの近くにある「THE PARKLODGE上高地」では、HOTEL SMARTの導入で大幅な業務効率化を実現しています。
従来は手書き予約台帳や旧式のフロントシステムを使用していたため、時間と手間がかかっていたほか、ヒューマンエラーが発生する課題がありました。PMSの宿泊者情報の事前入力、自動部屋割り、タブレットでのチェックインといった機能を活用。ヒューマンエラーの削減と業務時間の短縮に成功しました。
複数の宿泊予約サイトの在庫や料金をまとめて管理するサイトコントローラーとの連携でネット予約の自動取込も可能となり、人的ミスの抑制にもつながっています。導入当初は操作に戸惑う場面もありましたが、丁寧なサポートにより運用が定着。
人手不足が深刻なリゾート施設において、HOTEL SMARTは省人化と効率的かつ安定したオペレーション環境の構築に貢献しています。
伊豆・熱海を中心に全国で温泉リゾートホテルを展開する伊東園ホテルズは、急速な拠点拡大に対応するため、宿泊予約情報を一元管理できるクラウド型PMS「GLOVIA smart ホテル クラウドサービス」を導入しました。
従来は東京本社と各施設にサーバーを設置して運用するオンプレミス型の方式を採用しており、合計90台のサーバーを自社で保有する負担や、施設ごとに顧客情報や予約情報を管理する手間が課題でした。
クラウド型のPMSへ移行した結果、全拠点の情報をリアルタイムで統合・可視化することが可能に。
客室稼働率の向上や業務効率化を実現したほか、顧客の予約傾向やリピート行動などをもとにしたマーケティング強化、チェックイン時の伝言共有によるホスピタリティ向上にもつながっています。
PMSを活用すれば、業務時間の大幅短縮とヒューマンエラー削減が可能です。複合施設が多いリゾートホテルならではの人手不足、複数拠点運営といった課題に対しても大きな効果を発揮します。
リゾートホテルに求められる高いホスピタリティと、効率的な運営の両立がしやすいのもメリットです。
本サイトでは、PMSの導入や入れ替えをご検討の方に向けて、よくあるニーズ別におすすめPMSを紹介しています。システム選定の参考にご覧ください。
導入時には費用がかかりますが、結果的に売上とコストの両面で経営改善が見込める点が、リゾートホテルにPMSが求められる理由です。
リゾートホテルは客室だけでなく、レストラン、バー、スパ、ゴルフ場やスキー場といったアクティビティ施設まで管理対象が多岐にわたります。長期滞在、ファミリー、リピーターなど顧客の滞在スタイルも多様で、チェックインの時間帯も一定ではなく、偏りが見られます。
こうした複雑なオペレーションを人手と紙台帳で対応するのは限界があり、予約在庫や顧客属性を部門横断で共有できるPMSが不可欠です。
PMSを導入する際には、宿泊部門だけでなく宴会、レストラン、売店、温浴施設、アクティビティ部門など全ての部署から業務要件を収集し、システム連携の範囲と運用フローを明確にすることが重要です。これを怠ると導入後に個別Excelやスタンドアロンシステムが乱立し、結局データが分断されてしまいます。
他にも、リゾートホテルは繁忙期だけアルバイトが増えるケースが多く、複雑な操作を要するPMSでは現場が混乱します。マニュアル整備、eラーニング、チャットサポート、初期操作トレーニングの有無などの支援が充実しているか、現場スタッフの誰もが操作できる分かりやすいPMSかを事前に確認しましょう。
クラウド型PMSの場合は山岳地や離島など通信環境が不安定な立地でもオフライン運用が可能かを確認することも大切です。
PMSを導入すると、宿泊予約、レストラン席管理、スパ予約、売店POS、在庫管理、顧客プロファイルなど、部門ごとのデータを一元的に管理可能。このデータを基に顧客の滞在履歴や購買履歴を分析すれば、記念日や趣味嗜好に合わせた特別なプランを提案でき、アップセルやクロスセルにつなげられます。
アクティビティ予約と客室予約を連動させることで、リゾート全体のキャパシティを適正化でき稼働率が平準化するため、スタッフのシフトも組みやすくなります。
口コミサイトで顧客体験が可視化される現代において、一貫したサービス体験を提供できるPMSは、リピーター獲得や口コミ評価の向上に貢献し、顧客満足度向上につながります。
リゾートホテルでは宿泊以外の売上比率が高く、レストランやゴルフ場の在庫を別システムで管理すると予約変更時に手動転記が必要となり、ダブルブッキングや機会損失を招く可能性があります。
POSやアクティビティ管理モジュールを標準搭載、もしくはAPI(システム連携のためのインターフェース)連携で同一画面に統合できるPMSなら、フロントスタッフがワンストップで全館の状況を踏まえた案内ができ、顧客体験と業務効率が同時に向上します。
長期滞在やリピーターを抱えるリゾートホテルでは「誰が・いつ・どんな目的で」宿泊したかを正確に把握し、顧客の好みに合わせた提案が不可欠です。
顧客タグ付け、メモポップアップ、CRM(顧客関係管理)ダッシュボード、パーソナライズドメール配信など顧客対応機能が揃ったPMSなら、予約時点からチェックアウト後のフォローまで一気通貫でホスピタリティを高められます。
顧客心理を読み取るデータが豊富なほど、口コミやSNSでの好意的な発信が増え、集客コスト削減にもつながります。
リゾートホテルでは連泊割引、平日ウィークリー、季節ごとのパッケージ、アクティビティ付きプランなど多彩な料金設定があります。
泊数別料金や人数別料金、食事条件、付帯施設クーポンを組み合わせても在庫整合性が保たれるPMSでなければ、オンライン旅行代理店と公式サイトの料金差異が発生しトラブルになりかねません。
将来的に動的価格設定(ダイナミックプライシング)を導入できる拡張性も視野に入れて選定すると、需要変動が激しいリゾート市場で収益機会を増加できます。
PMSに求める機能や優先事項は、施設の規模や業態によって異なります。
こちらでは「コストを抑えたい」「省人化したい」「複数拠点をまとめて管理したい」といった、宿泊施設ごとの目的に合ったPMSをご紹介。
PMSの導入や入れ替えを検討する際の参考にしてください。